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ハードル

2009.6.30

いよいよ流動食が始まりました。
なんておいしいのでしょうか。血の味を最後に、ずっと砂を噛んでいるような毎日でしたが、私の舌がいま、ちゃんと味を脳に伝えてくれています。

りんごジュース、牛乳、お味噌汁の上澄み、重湯。
それぞれ半分くらいずつ残しましたが、1時間ぐらいかけていただきました。
一口一口、とても大事にいただきました。すっかりお腹がいっぱいになりました。

飽食の日本、流動食なんかを心から「おいしい」と思う大人が、それほど多いとは思いません。
でも私は今、本心から幸せを噛みしめています。スプーンでひとくち流し込むのも、口の中で飲み物が体温と同じになるまで待つのも、少しずつそれを飲み込むのも、どれもこれも、涙がにじむほどの幸せなのです。


幸せのハードルを自ら高くしてしまう人は、一生不幸です。

たとえば、「両親の顔を見たことがある」というたったこれだけの幸せも、私にはありません。
両親の顔を知っているのなら、あなたは私よりも幸せです。

たとえば、「32歳の誕生日を、ガンにならずに迎える」という幸せも、私にはありません。
もしあなたが32歳の誕生日を健康に迎えたことがあるのなら、あなたは私よりも幸せです。

もし、この両方とも揃っているのなら、あなたは私よりずっとずっと幸せです。

それ以上の、何を望みますか?

お金が欲しいですか?
愛情が欲しいですか?
時間が欲しいですか?

何が不満ですか?

夫の給料が少ないことですか?
妻の体重が増えてきたことですか?
子供の好き嫌いが多いことですか?

満たされないものをひとつひとつ数え上げるよりも、今までに自分が手にしてきた幸せを、数え上げてみませんか。

人間は、生まれたときからすでにプラスかマイナスを背負っています。
生まれたときに沢山のマイナスを背負っている人は、ゼロを目指すだけでも大変な思いをしなくてはならないし、沢山のプラスを持って生まれた人は、たいした努力をせずとも、何でも手に入りやすいことでしょう。
「人類みな平等」だなんて、幻想に過ぎません。

つい1週間前に買ってもらったおもちゃに飽きて、あれも欲しい、これも欲しいとかんしゃくを起こす、おもちゃ売り場の子供を見たことがありますか。
あなたはそれを見て、どう思いますか。


私にとって、常に不満を言うような人はもはや、そんな駄々っ子にしか写りません。

先日も、テレビをぼんやりとながめていたら「どうして私たちにばかりこんな不幸が起きるのでしょうか」と嘆く夫婦がいました。
2つ3つ話を聞いただけで、可笑しくなってすぐに消してしまいました。
幸せのハードルが高い人は、不幸のハードルがとても低いのだということも、よくわかりました。



私の今の願いは、これ以上足の筋肉が衰えないよう、この個室から外に出て廊下を歩くリハビリを始めたい、ただこれだけです。

理由は、息子がもしもお見舞いに来てくれた時には、せめてエレベータまで見送りたいからです。

あの救急車に運ばれた日、小さな手で私の手を引いて、エレベータまで私を見送ってくれたあの子に、少しでも元気な姿を見せてあげられるように、したいからです。





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ジャンル : 心と身体

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Re: No title

>さぷりたん

ワケあってたった今はものすごく体調悪いです…
起きていられる時間があんまし無いです。
つい先週までは元気だったんだけどね。

「w」つけるのそろそろやめない?w
対応するテンション維持できないよ。ごめん。

Re: No title

>こんぺいとうさん

私も決して偉そうなことなど言えないのですよ、本当は。
実際、以前は「どうして私だけがこんなに不幸な目に遭うんだろう」と考えたり、自分よりも幸せな人を見ると憎らしくなったりする、了見の狭い考えがありましたし…
ただ、ガンになったことで、気づいたことが山ほどあったのです。
こんぺいとうさんは、今の状態に不満を持つことは当然のことと捉えて、そのうえで「今ある幸せ」をもう一度考えてみると、ストレスが溜まらずに済んで、得すると思います^^
そんな小さな考え方だけで、幸せがどんどん増えたような気持ちになれたらいいですね。

それと、息子のことを気にかけて下さって、大変うれしく思います。
息子は、普段はやんちゃ坊主で、学校の先生からも何度となく電話がかかってくることも。
口を酸っぱくして叱ったことや教えたことは、次の日にはすっかり忘れてしまうくせに、何も教えていないはずのことを、びっくりするようなタイミングでしてくれることがある、そんな子です。
私自身もそうでしたが、難しい家庭環境で育つと、自然といつも親の顔を窺うようになってしまうものなのですが…ひょっとしたら、私が思っていたよりもずっとずっと、私のことを見てくれていたのかなと思うこのごろです。
結婚相手は間違えたけど、私、子育ては間違ってなかったのかな?と、自信をもてるようになりました。

私がやっとたどりついた、最高の幸せの掴み方は、まだまだ人に教えてあげられるほど完璧ではないですが、これからも積み重ねていきたいと思っています。
日記でもまだまだ書いていきますので、気長に待っていて下さいね。

Re: お久しぶりです

>とうやさん

お久しぶりです。心温まるメッセージを、いつもありがとうございます^^
わけあってただいま大きく体調を崩しておりますが、遅れながらも日記を書いていきます。
のんびりと遊びに来ていただければ、と思います。
応援ありがとうございます。

No title

こないだの日記に書いてあったけど
今はもっとよくなってるのかな??

手をとってくれる息子の手は日に日に強くなってくだろうねww



No title

のんさん、私は、のんさんの言うように、満たされないものを数えあげていました。考えさせられたというか胸に重い何かがドーンときています。
今のささやかだけこのうえない幸せを気づかずに暮らしていては勿体無いですね。この重いものは私に良い意味をもたらすと思います。
のんさんの大切な息子さんへ宛てた「日本一長い遺書」のんさんの趣旨とは違うかもしれませんが、遠い大分の地でしっかり読んでいる者もいます。
のんさん、けなげでシッカリ者の息子さんの事がもっと知りたいです。
同じ母親(おかれている環境や境遇は違いますが)として息子さんが気になります。

お久しぶりです

日記、いつも読ませて頂いています。
まだまだ、これからですよね!
心のこもった息子さんへの文章を読むと、切なさで両手が熱くなります…。
きっと、気持ちが届きますように。

幸せのハードルのくだり、その通りだなと思いました。
当たり前にしていることがかけがえ無い幸せな出来事なのですね。
のんさんの日記を読むと、いろんなことに気付かされます。
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