息子へ~2~
昭和51年1月。
私は、青森県青森市で生まれたのよ。知っているよね。
私のママ、つまりあなたのおばあちゃんは、ママのパパ、つまりあなたのおじいちゃんと、すぐに離婚してしまったの。
私がまだ生まれて半年しかたっていない赤ちゃんだった頃にね。
私は、パパの顔を知らないんだ。
ママが、一度もパパに会わせなかったから。
写真も、見たことがないし、お墓参りも、したことがない。
私はずうっと、「パパは病気で死んでしまったの」と聞かされてた。
でも、それは違ってたんだよ。私が3歳になるまでは。
私のパパは、私が3歳のとき、本当に死んでしまったの。
肝臓ガンだったんだって。
このお話は、私が中学生のときに知らされたの。
私は、生きているパパに一度も会えないままだったことが、とても悲しかった。
たとえどんなパパであったとしても、ママよりはずっといい人だったんじゃないかと、思ったりもした。
なぜって?
ママはね、私を、両親に捨てられた子供とかが入る、施設に入れようとしたの。
育てたくなくなったんだって。
ママは看護師さんだったから、お仕事が大変なのもあってね。
だけどね、施設には結局行かなかったんだ、私。
私のおばあちゃんとおじいちゃん、つまりあなたのひいおばあちゃんと、ひいおじいちゃんが、可哀想だっていって、育ててくれることになったの。
おばあちゃんとおじいちゃんは、とっても優しくて、それに時には厳しかった。
すごく可愛がってくれたし、いろんな思い出があるよ。
今の私が、「いいお母さん」かどうか… それは私にも、わからないけどね、私は、おばあちゃんを思い出しながら、あなたを育ててきたんだよ。
おばあちゃんはこんなことに厳しかったなあ、とか、おばあちゃんはこんなときによく褒めてくれたなあ、とかね。
反対に、ママのことは… 「絶対にあんな母親にはならないぞ」、って思うときに、思い出すことがあるんだ。
例えばね、私が小学生のときにこんなことがあったの。
私は、学校であったいやな出来事を、一生懸命ママに話してたんだけど、ママはちっともこっちを見ないで、ずっと雑誌を読んでるの。
だから、聞いてみたの。「ママ… 私の話聞いてくれてないの?」ってね。
そしたらママはこう言ったの。
「あんたの話なんか聞いてないよ、いつも」
私、たぶんあのときすごくショックだったんだろうなあ。
その夜眠れなくってね。なんだか涙が止まらなかった。
でも、なんだかおばあちゃんにもそのことを話せなくて…結局ずっと、そんなことを時々思い出しては、忘れようとして一生懸命別のことを考えようとしたりした。
ねえ私、ちゃんとあなたのお話、聞けてたかな?
お友達と遊んだこととか、学校でどんなお勉強してきたかとか、どうして雨は降ってくるのかとか、あなたは一生懸命私に話してくれるから、いつもすごく嬉しかったよ。
目をキラキラさせて、「これはどうして」「あれはなあに」と私にたくさん質問してた、小さな頃のあなたも、思い出すと可愛くて可愛くて仕方ない。
並べたお布団で、一緒に寝るとき、よく手をつないだね。
昔話をせがむあなたの寝息が聞こえるまで、たくさんお話をしてあげたね。
でも私、ちゃんとあなたのお話、聞けてたかな?
もし聞けてなかったときがあったとしたら、ごめんね。
寂しかったよね。
もう、そばでお話聞いてあげられなくて、ごめんね。
でもね、遠い遠いところから、あなたのことは毎日見てるからね。
ずっとずっと、あなたのこと見てるからね、これからも。
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私は、青森県青森市で生まれたのよ。知っているよね。
私のママ、つまりあなたのおばあちゃんは、ママのパパ、つまりあなたのおじいちゃんと、すぐに離婚してしまったの。
私がまだ生まれて半年しかたっていない赤ちゃんだった頃にね。
私は、パパの顔を知らないんだ。
ママが、一度もパパに会わせなかったから。
写真も、見たことがないし、お墓参りも、したことがない。
私はずうっと、「パパは病気で死んでしまったの」と聞かされてた。
でも、それは違ってたんだよ。私が3歳になるまでは。
私のパパは、私が3歳のとき、本当に死んでしまったの。
肝臓ガンだったんだって。
このお話は、私が中学生のときに知らされたの。
私は、生きているパパに一度も会えないままだったことが、とても悲しかった。
たとえどんなパパであったとしても、ママよりはずっといい人だったんじゃないかと、思ったりもした。
なぜって?
ママはね、私を、両親に捨てられた子供とかが入る、施設に入れようとしたの。
育てたくなくなったんだって。
ママは看護師さんだったから、お仕事が大変なのもあってね。
だけどね、施設には結局行かなかったんだ、私。
私のおばあちゃんとおじいちゃん、つまりあなたのひいおばあちゃんと、ひいおじいちゃんが、可哀想だっていって、育ててくれることになったの。
おばあちゃんとおじいちゃんは、とっても優しくて、それに時には厳しかった。
すごく可愛がってくれたし、いろんな思い出があるよ。
今の私が、「いいお母さん」かどうか… それは私にも、わからないけどね、私は、おばあちゃんを思い出しながら、あなたを育ててきたんだよ。
おばあちゃんはこんなことに厳しかったなあ、とか、おばあちゃんはこんなときによく褒めてくれたなあ、とかね。
反対に、ママのことは… 「絶対にあんな母親にはならないぞ」、って思うときに、思い出すことがあるんだ。
例えばね、私が小学生のときにこんなことがあったの。
私は、学校であったいやな出来事を、一生懸命ママに話してたんだけど、ママはちっともこっちを見ないで、ずっと雑誌を読んでるの。
だから、聞いてみたの。「ママ… 私の話聞いてくれてないの?」ってね。
そしたらママはこう言ったの。
「あんたの話なんか聞いてないよ、いつも」
私、たぶんあのときすごくショックだったんだろうなあ。
その夜眠れなくってね。なんだか涙が止まらなかった。
でも、なんだかおばあちゃんにもそのことを話せなくて…結局ずっと、そんなことを時々思い出しては、忘れようとして一生懸命別のことを考えようとしたりした。
ねえ私、ちゃんとあなたのお話、聞けてたかな?
お友達と遊んだこととか、学校でどんなお勉強してきたかとか、どうして雨は降ってくるのかとか、あなたは一生懸命私に話してくれるから、いつもすごく嬉しかったよ。
目をキラキラさせて、「これはどうして」「あれはなあに」と私にたくさん質問してた、小さな頃のあなたも、思い出すと可愛くて可愛くて仕方ない。
並べたお布団で、一緒に寝るとき、よく手をつないだね。
昔話をせがむあなたの寝息が聞こえるまで、たくさんお話をしてあげたね。
でも私、ちゃんとあなたのお話、聞けてたかな?
もし聞けてなかったときがあったとしたら、ごめんね。
寂しかったよね。
もう、そばでお話聞いてあげられなくて、ごめんね。
でもね、遠い遠いところから、あなたのことは毎日見てるからね。
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